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「クラブは買ったままでなくていい」豊橋で工房を守る、8年目クラフトマンの仕事

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「練習場では調子がいいのに、本番になるとどうも上手くいかない」

多くのゴルファーが一度は経験するこの現象。原因は自分の技術やメンタルだと思われがちですが、実はクラブ側にも理由があるとしたら、どうでしょうか。

ゴルフパートナー豊橋店の工房で、日々クラブと向き合っているのが今泉純さん。クラフトマン歴8年、この地域でクラブ工房を担う数少ない若手のひとりです。日々の作業は、0.01グラム、1ミリという世界を扱う繊細なもの。それでいて、話を聞けば聞くほど「ゴルフクラブは、もっと気軽に相談していいものなんだ」と思わせてくれます。

「いいことだけではなく悪いことも正確に伝える。必ずメリットとデメリット、その対処法をお伝えします」

そんな今泉さんに、クラブ調整の世界と、意外と知られていない「買ったままで使わなくていい」という考え方について、たっぷり聞きました。


豊橋エリアで工房を担う、数少ない若手クラフトマン

8年前、師匠との出会いから始まった

今泉さんがクラフトマンの道に入ったのは、今からおよそ8〜9年前。以前の勤務先に、この地域で名の知れたクラフトマンがいたことがきっかけでした。

「その人が当時の工房長だったんです。今も連絡を取り合っていますし情報交換を続けています」

師弟関係は今も続いていて、技術的な相談だけでなく、業界の動向や新しいシャフトの評判なども情報交換しているといいます。「クラブをカスタムできることは、ゴルファーとしてもお客様と接する深さが変わる」——そう感じたことが、この道を選んだ理由だといいます。

「僕が一番歳下なんです」

豊橋エリアで実際にクラブ工房を担っている店舗は、3〜4店舗ほど。「みんなベテランの方々で私がが一番歳下なんです」

そう笑う今泉さんですが、ここ2年で工房の作業量は一変したそうです。自分でシャフトを交換する若い世代のゴルファーが増え、工房への需要そのものが変わってきているといいます。かつては「クラブの調整=ベテランゴルファーの領域」というイメージが強かったものが、今では20〜30代の若いゴルファーが「カチャカチャ」と呼ばれるスリーブ機能を使って、自分でシャフトを交換するのが当たり前になりつつあるというのです。

クラブを買い替えるより、ローコストでカスタムを楽しめる時代

「クラブを買い替えるよりローコストでカスタムを楽しめる」——これが、若い世代にシャフト交換が広がっている大きな理由だと今泉さんは分析します。

古いシャフトが悪いというわけでもなく、懐かしいシャフトを求める層もいるといいます。豊橋の工房が抱えるシャフト在庫は約400本。オンラインでもシャフトの共有販売が可能になった今、実はオンラインでシャフトが一番売れているという声もあるほど、この数年でシャフト市場そのものが大きく動いているそうです。豊橋店ではすぐに試打できるのも魅力です。


0.01gと1mmにこだわる、技術の裏側

最初に教わったのは「片付けながらやる」こと

クラフトマンとして最初に師匠から言われた言葉が、今も作業の土台になっていると今泉さんは話します。

「必ず一個一個片付けながらやりなさい、と最初に言われました」

バラバラに散らかしたまま作業を進めると、失敗が増える。慌てるとミスにつながる。機材を元に戻し、清掃する——そこがすべてのスタートだといいます。一見地味なルールですが、8年間ずっと守り続けているといいます。

地味だけれど、結果を大きく左右する「清掃」

特に徹底しているのが、シャフトを抜いた後の清掃です。

「(清掃を怠ると)1ミリ2ミリずれることもあるし、刺さり方も全然変わってきます」

クラブの内部には接着剤や汚れが残ることがあり、適当に処理したまま次のシャフトを挿すと、狙った方向とは違う角度で刺さってしまうことがあるそうです。一度組んでしまうと後からやり直しがきかないため、この工程は絶対に手を抜けないといいます。

リシャフトという作業は、大きく分けて「シャフトを抜く」「内部を清掃する」「新しいシャフトを接着する」という工程で進みます。特にシャフトを抜く際は、ヘッドの素材(スチールかカーボンか)によって加熱の仕方や見極めが変わるため、繊細な温度・時間管理が求められます。また、抜いたあとの内部処理が均一でないと、新しいシャフトが本来の角度からわずかにずれて刺さってしまうこともあるといいます。

こうした一つひとつの工程を丁寧に積み重ねることが、「1ミリ2ミリのズレ」を生まないことにつながっています。今泉さんが最初に師匠から教わった「片付けながらやる」というルールは、まさにこの精度を保つための土台なのです。

経験でしか分からない、クラブの中身

中身が分からないクラブを開けるところからのスタートだったという今泉さん。どこまで削っていいのか、やりすぎてはいけない部分はどこか——最初は手探りだったといいます。

「失敗もいっぱいしました」と振り返りますが、その積み重ねによって、今では見ただけでクラブの中身の状態がある程度推測できるようになったそうです。長さ・重さ・バランスの3つを同時に完璧に揃えることは、本来できません。しかし中身の構造が読めるようになると、微調整の余地を見つけられるようになるといいます。

お客様と「同じイメージ」を持ってから作業に入る

一番大切にしているのが、作業前のすり合わせです。どういう形で、どう使うために、この形にしてほしいのか——1から10まで確認を取ってから、初めて作業に入るといいます。

「大切なクラブを一度分解して組み直す作業だから」と今泉さんは話します。仕上がりのイメージを先に共有しておくことが、信頼につながる第一歩なのです。


セッティングを見抜く観察眼

今泉さんが試打の際に必ず見ているというポイントも、興味深いものでした。

一般的なゴルファーは、クラブの硬さ・柔らかさを「手元側の動き」で感じ取っていることが多いといいます。そのため、まず手元側がどれだけ動けばよいかを確認するそうです。また、左右のブレよりも、実は「高低差」の方がシャフトの影響を強く受けるといいます。

長さについても、思い込みが結果を左右することが多いそうです。「3Wは43インチ」「5Wは42インチ」でなければならない、と思い込んでいる人が圧倒的に多いのですが、実際には短くする、あるいは長くすることでしっくりくるケースは珍しくないといいます。

試打での引き出し方

今泉さんが試打の際に実践しているのは、次のような方法です。

  1. 合うシャフトと、あえて合わないシャフトの両方を渡す
  2. フレックスや重さは事前に伝えない(伝えると「そのつもりで」振ってしまうため)
  3. 1〜2球で「どちらが振りやすいか」を感覚的に選んでもらう
  4. 振りやすい方から、細かく詰めていく

先入観を与えないことで、お客様自身の身体が「振りやすい」と感じるクラブを見つけ出す。これが今泉さんの試打の考え方です。


「買ったままで使わなければいけない」という誤解

プロは0.01g、アマチュアは1gで変わる世界

今泉さんが多くのアマチュアゴルファーに感じている、いちばん大きな誤解があります。

「プロは0.01グラム貼るだけで変わる。アマチュアなら1グラムもあれば本当に変わります」

鉛をわずかに貼るだけ、あるいはほんの少しインチカットするだけで、結果が変わることがある。「クラブを動かせる」ということ自体を知らない人が、実はとても多いのだそうです。

調整できるポイントは、レンチによるスリーブ調整、ウェイトの配置、鉛を貼る位置、グリップの太さや握り方など、意外と多岐にわたります。

「練習場では良いのに本番でダメ」の正体

この記事の冒頭で触れた現象について、今泉さんは興味深い説明をしてくれました。

「練習場は何球でも打てるし、人間は賢いのでなんとかしてくる。でも本番は1球入魂です」

練習場では何球も打つうちに、無意識に修正が入ってしまう。しかし本番は一発勝負。練習場の「1球目」と同じ結果が、そのままコースで出てしまうというのです。

「合わないシャフトは、一生合わない」

シャフトの挙動データの世界では、人の動かし方は指紋のようなもので、ほぼ一生変わらないとされているそうです。だからこそ、自分に合ったクラブを見極めることが重要になります。

シャフト選びの基礎知識:フレックス・トルク・キックポイント

「シャフトを見極める」といっても、何を基準にすればいいのか分からない、という方のために、基本となる3つの指標を整理しておきます。

  • フレックス(硬さ):R・SR・S・Xなどの記号で表される、シャフトのしなり具合。スイングスピードが速い人ほど硬めのシャフトが合いやすく、逆に柔らかすぎるシャフトを速いスイングで振ると、しなりが大きくなりすぎてタイミングが合いにくくなります
  • トルク(ねじれ):シャフトのねじれやすさを示す数値。数値が大きいほど捻れやすく、小さいほど捻れにくくなります。トルクが大きいシャフトはスイングの多少の誤差を吸収してくれるため、一般的に初心者ほど大きめの数値が合いやすいとされています
  • キックポイント(調子):シャフトのどの位置がしなりやすいかを示す指標。先端側がしなる「先調子」はボールが上がりやすく、根元側がしなる「元調子」は低めの弾道になりやすく上級者向け、中間の「中調子」はタイミングが取りやすい万能型とされています

今泉さんが「合うシャフトと、あえて合わないシャフトの両方を渡す」という試打方法をとるのは、こうした数値上のスペックだけでは分からない、実際に振ったときの感覚の違いを確かめるためです。カタログスペックと実際のフィーリングは、必ずしも一致するとは限らないといいます。


いちばんおすすめしたい入り口、それは「ライ角調整」

数あるメニューの中で、今泉さんが最も強く勧めるのが「ライ角調整」です。

「一番単純で修正しやすいのはライ角調整。100%やった方がいい。皆さんやらないので」

今泉さん自身、身長166cmだといいます。市販のクラブは、決してすべての人の体格に合わせて作られているわけではありません。背が低い人にとっては、想像以上にアップライトに感じられることも多いそうです。

構えたときのソールの当たり方も、ライ角ひとつで変わってきます。「一番結果に直結しやすい工房の案件」だと、今泉さんは言い切ります。理想は、短い番手から順に、実際にラウンドでどんな球が出るかを見ながら微調整していくことだそうです。

そもそも「ライ角」とは何か

ライ角とは、クラブのソール(底面)を地面と水平に置いたときに、シャフトと地面のあいだにできる角度のことです。適正なライ角では、ソールが地面にきれいに接地し、フェースが目標方向をまっすぐ向きます。

ライ角が体格や構え方に合っていないと、次のような症状が出やすくなります。

  • アップライトすぎる場合:トゥ(クラブヘッドの先端)側が浮き、フェースが左を向きやすくなる。結果として引っかけ気味の球が出やすい
  • フラットすぎる場合:ヒール(クラブヘッドの根本)側が浮き、フェースが右を向きやすくなる。結果として押し出し気味の球が出やすい

このほか、スイートスポットを外した打感になる、思ったより飛距離が伸びない、方向性が安定しないといった不調も、ライ角のズレが原因になっていることがあります。

自分でおおよその見当をつける方法として、アイアンのソールにマーカーを貼って打球時のこすれ跡を確認する方法や、実際に打ったあとのディボット(芝の削れ跡)の形を見る方法もありますが、正確な診断はやはり専門の計測が確実です。

なお、調整できるかどうかはヘッドの素材によって変わります。今泉さんが日常的に扱っているような軟鉄鍛造タイプのアイアンは、専用の機器でネックの部分を少しずつ曲げることで調整が可能です。一方、ステンレスや鋼タイプのヘッドは素材が硬く専用の機械でないと、基本的に曲げ調整はできません。調整できる範囲にも限度があり、無理な角度まで曲げようとすると、ヘッドやシャフトに負担がかかってしまいます。だからこそ「経験でしか分からない、クラブの中身」の話にもつながってくるのです。

実際にあった成功事例

  • アイアンのリシャフトとあわせて、ドライバーの向きを微修正した結果、クラブ競技で優勝し、同時にベストスコアも更新
  • 6番アイアンに違和感を覚えていたお客様が振動数を揃える調整を行ったところ、コンペで優勝

こうした事例からも分かるように、大掛かりな買い替えをしなくても、細かな調整だけで結果が変わることは珍しくありません。

口コミで広がる、練習場ならではの文化

印象的だったのが、口コミの広がり方です。上手な方1名にライ角調整を勧め、結果が出たところ、その方の練習グループ7〜8人のうち4人が来店したというエピソードがあります。

練習場には、練習仲間同士で会話しながら情報共有する文化があります。良い事例は、こうして自然に周囲へ広がっていくのだそうです。


「できないこと」も、はっきり伝える誠実さ

すべての相談に「できます」と答えるわけではないのも、今泉さんの姿勢です。

たとえば、5番からピッチングまでの振動数を完全に揃える「MOIマッチング」のような、より専門性の高い調整は、豊橋の工房では現在お受けしていません。本数や工程によっては相応の費用と日数がかかる、より高度な専門設備を要する作業だからです。

「できないことは、できないとお伝えする」——この線引きをはっきりさせる姿勢こそが、逆に信頼につながっていると今泉さんは考えています。

信頼を得るための2つのルール

今泉さんが常に意識しているのは、次の2つのルールです。

  1. 仕上がりのイメージを先に伝える(大切なクラブを一度分解して組み直す作業だから)
  2. メリットだけを伝えない。必ずデメリットと、その対処法もセットで細かく説明する

「工房は敷居が高い」と感じている人に向けては、悩んでいそうな人や、シャフトを眺めているお客様には、自分から明るく親しみやすく声をかけるようにしているといいます。この姿勢は、今泉さん自身が他店を訪ねた際に経験した「アウェー感」と、そこで受けた気さくな声かけが原体験になっているそうです。

グリップは「体とクラブの唯一の接点」

もうひとつ、今泉さんが大切にしているのがグリップです。

「グリップは、手で唯一クラブに触れているところ」

握りに違和感があったり、滑りそうだったりすると、それだけでスイングに集中できなくなってしまいます。スイングは1〜2秒の出来事。その間にいくつも考え事をすることはできません。グリップが合っていることは、スイングに集中するための第一歩なのです。

グリップの素材は基本的に2種類(ゴム系/エラストマー系)、太さや硬さの組み合わせも豊富です。身長185cmでも手が小さい人がいるように、身長と手の大きさは必ずしも一致しません。今泉さんはお客様に確認のうえ、統一した長さ・太さで仕上げ、交換後はすぐ打ちたいはずのお客様のために、とにかく早く打てる状態で渡すことを心がけているといいます。


依頼の実態と納期の目安

依頼が多いメニュー、上位3つ

工房への依頼で特に多いのが、次の3つだといいます。

  1. スリーブ交換——圧倒的に依頼が多く、どのクラブにもスリーブが付いているため、まず候補にあがるメニュー
  2. 長さ調整(インチ伸ばし・カット)——今泉さんが身長にあわせたシャフト長さの重要性を伝えているため、依頼につながりやすい
  3. クラブ全般のリシャフト——シャフトの相談から、現物交換に発展するケースが多い

このほか、ライ角調整の要望も多いといいます。

納期について

物とスケジュールがあえば、スリーブ交換は当日渡しも可能だそうです。ただし今泉さんは、必ず「打つまで24時間空けてほしい」と伝えているといいます。常連のお客様には「待つわ」と言ってもらえることも多いそうです。


よくある質問

Q. クラブの調整は、どのくらいの期間で受け取ることができますか?

A. スリーブ交換のような単純な作業であれば、物さえあれば当日対応も可能です。ライ・ロフト角調整やリシャフトのような本格的な作業は、内容によって前後します。まずはご相談ください。

Q. 古いクラブでも調整してもらえますか?

A. 内容によります。古いクラブや特殊な構造のヘッド等、スリーブの互換性がない場合があるため、事前にご相談いただくのが確実です。

Q. 値段はどれくらいかかりますか?

A. 料金は改定される可能性があるため、正確な金額は店頭でご確認いただくのが確実ですが、目安としてグリップ交換やライ角調整は数百円程度から、スリーブ交換やシャフト関連の作業は数千円程度からとなっています。

Q. 工房に行くのは初めてで緊張します……

A. 今泉さんいわく「グリップ交換だけでも歓迎です!」とのこと。まずは気軽な相談から始めて大丈夫です。


まずはグリップ交換や、ライ角調整から

「工房って何だか敷居が高そう」と感じている方も多いかもしれません。ですが、相談できる内容の幅は広く、グリップ交換のような気軽なものから、リシャフトのような本格的なものまで様々です。

料金は変更になる場合があるため、正確な最新情報は店頭またはお問い合わせにてご確認ください。おおよその目安として、グリップ交換やライ角調整は数百円程度から、スリーブ交換やシャフト関連の作業は数千円程度からとなっています。

「買ったままで使わなければいけない」という思い込みを、一度手放してみませんか。今使っているクラブにも、まだ伸びしろがあるかもしれません。

まずは気軽に、ゴルフパートナー豊橋、四ツ池のスタッフまでご相談ください。


ゴルフパートナー工房のお問い合わせ先

拠点担当クラフトマンお問い合わせ
四ツ池ゴルフガーデン店北川Google Map / TEL 053-482-7877
ゴルフパートナー豊橋店今泉Google Map / TEL 0532-26-2777

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